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「しなやかに したたかに 微笑みながら」をキャッチフレーズに頑張っている女性消防職員を支えていく会です。

激励の気持ちを伝えにreport

覚えていますか2000年の9月11日

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覚えていますか2000年の9月11日911ニューヨーク同時多発テロを、何度も何度もテレビに映し出された飛行機の衝突シーンとアメリカが世界に誇った超高層ビル世界貿易センターが崩れていく映像はもう見たくないと不快感を覚えるほどで、私たち消防士にとって忘れることのできない出来事でした。
 そして、あの崩壊ビルの中にたくさんの消防士たちがいたのです。
 彼らは上階の助けを求める人々のところに向かうために、必死の思いで黙々と階段を上り、そして予期せぬ二次災害に巻き込まれて尊い命を落としていったのです。

そしてこの時私は自分の仕事は危険と隣り合わせにある消防士だと自覚しました。私も現場で活動する隊員だから、彼らが重装備で重いホースを担ぎ、汗を流して階段を上り続ける姿が目に浮かび、自分がその場にいるような気持になりました。私たちは彼らと同じ仕事をし、いつ同じ立場に遭遇するかわからない、逃げることも、臆することもできない、きっと私たちも助けを求める人がいる限りその場に向かうだろうそんな思いを胸にした数日後、JFFWのメーリングリストにメンバーから提案がありました。


つらい時は仲間の激励がうれしい

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当時WFSにJFFWのメンバーが参加したことから、ニューヨーク市消防局の女性と親しくなり交流を持っていました。瓦礫の中から仲間を救出するため彼女たちも不眠不休で働いていることを知り、彼女たちのつらい状況を聞いて何か応援ができないかという提案でした

私たちはすぐに賛同して支援をすることにしました。義捐金も考えましたが、お金ではなく形にして気持ちを伝えたいそんな思いから、何ができるか考えました。「つらい時は仲間の激励がうれしい」私たちの思いを送ろう、同じ仕事をする仲間として激励の気持ちを伝えることにしました。

メッセージを何かに書いて贈ろうと考え、はじめは日本手ぬぐいという意見が出ましたが、アメリカ人に手ぬぐいが理解できないのではという疑問がわきました。そこでオリジナルのTシャツを作ることがアメリカの文化であると聞き、Tシャツを作りメッセージを印刷することにしました。
 そして私たちも同じTシャツを着ることで、彼らと同じ気落ちで心から応援することにしました。

 はじめは私たち女性のネットワークで500枚作って販売し、その収益でニューヨーク消防局の女性消防士に100枚贈ることができればと企画を始めました。
 Tシャツの生地は米国製、胸にニューヨーク消防のヘルメット、9月11日を忘れないための日付、がんばれの日本語の下にFDNY、背中には英文で激励のメッセージ、そして長寿を願い100歳を迎えられた横浜市在住の協力者の方に{愛}という字を書いていただき、その愛の字に幸せの黄色いリボンをかけ、犠牲になった多くの消防士の哀悼の意を表しました。
 Tシャツの袋にはデザインの意味を説明するメッセージカードを入れて出来上がりました。

全部売れるのか不安抱えながら女性のネットワークに案内を送り、それと同時に趣旨を理解して協力していただける方なら男性職員にもと、当時私が入会していた全国の消防職員のネットワークにも案内を送りました。


日本中の消防士が私たちと同じ気持ちで激励

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その反響は驚くほどではじめに制作した500枚はあっという間に完売し、次から次へと注文のメールが舞い込み、1か月間はメールの処理に明け暮れました。私たちの激励に全国の消防職員が賛同してくれて、激励の輪がどんどん広がり500枚が1000枚に、1000枚が2000枚に、2000枚が5000枚に、5000枚が7000枚余りにと最終的に8000枚のTシャツを購入していただき、その差額で3000枚のTシャツをニューヨーク消防に届ける一大事業になってしまいました。

日本中の消防士が私たちと同じ気持ちだったのです。みんななにかしたいと思っていたけれど、何をしたらいいのかと迷っていたのです。 最初の10月30日の締め切りまでに、1000枚のTシャツを送るメドが立ちました。

テロで飛行機があのようなことになっていたので、周囲は賛成しませんでした。さらに出発の前日にまた航空機事故です。ケネディー空港で飛行機が落ちたというニュースが入り、周囲から大丈夫か、やめろという声が聞こえて私も内心不安はありましたが、すぐに事故とわかり、一度決断したもの、これで行かなければファイヤーファイターにはなれないと笑って出発しました。


ニューヨーク市消防局

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到着したケネディー空港で警備が厳しい中、荷物は何かと止められたときに、日本の消防士からニューヨークの消防士に届ける激励のTシャツだと身振り手振りで説明するとそのまま通してくれました。
 アメリカで消防士がいかに尊敬されているかを垣間見ました。

本来Tシャツはニューヨーク市消防局に全部届けるはずでしたが、当時の消防局は大混乱で出発の前々日までありがたいが忙しくて対応できないと回答を得ていたので、ユニオン(消防職員組合)の代表と会う約束をしましたが前々日になって、ニューヨーク消防局からも会いたいと連絡が入り、双方に訪問し500枚ずつ届けることになりました。

この訪米は横浜市経済局ニューヨーク事務所の方々のご尽力で話がまとまり実現したものです。到着すると事務所の方と打ち合わせをし、翌日タクシーに大荷物を積み込み、消防局に向かいました。
 消防局に着くとフロントに消防士の人形と献花が飾られていました。
 はじめはその場で荷物を受け取るというやり取りから、とりあえず事務所に通してほしいと申し入れ、廊下で荷物の梱包を開けて、Tシャツを見せて説明して趣旨を理解してもらいました。
 その後チーフの部屋で一緒に記念写真を撮るほど喜んでもらいました。

ユニオン事務所を訪問

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帰りに地下鉄でグランドゼロへ、1か月も経過しているのに付近はまだきな臭く、緊張の空気が漂っていました
 立ち入り禁止のゲートに手をかけ遠くを覗き込む、みんな言葉もなく想いを巡らせました。
 涙ぐむ人たち、飴のように伸びて曲がった鉄骨の痕がすべてを物語っていました。
 翌日は消防博物館でユニオンの代表と会い、ユニオンの事務所を訪問しました。
 亡くなった消防士の家族や遺児たちの支援活動に彼らが力を尽くしていると熱心に話されました。またニューヨーク消防が始まって700人余りの殉職者がいたけれどその半分が今回の事件で亡くなったと語った。

被災地の全貌

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私たちは被災地の全貌をユニオン事務所のあるビルの上階から見せてもらった。
 すべてががれきだけになって、そこの高層ビルが建っていたなんで、様子もありません。
 どうしたら一瞬にしてこんな被害が起きるのか、その全貌は私が今まで見たことのない姿を現しました。

 これは現実です。私たちの周りにも起こりえる現実。
 救助に向かう人たちは、このビルが倒壊するなんて思わずに、階段を上がっていたのでしょう。

救急隊として現場活動をしていた私はその風景を見たとき、階段を延々と上がっていく自分の姿を想像して、私も死と隣り合わせにいる消防士であると実感しました。そこに女も男もない、現場活動に男だから女だからという差異もなく、そんなふうに考えるべきではないと確信しました。この経験は私にいつどんなことが起きるかわからない消防士への覚悟というものを教えてくれました。

どうか彼にもお礼を申し上げてください

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私たちは消防士、どんな大きな災害であろうと助けを求める人たちを放ってはおけない。
 この時こそ消防士は一つであると実感し全力を尽くすことの崇高さをわが身に感じました。
 この事業を振り返った当時、何かをやろうと思えば何でもできるという手ごたえを得、そして日本の消防士魂も実感しました。
 水面にポツンと投げた石の波紋はどんどん大きく広がって、こんなに大きな渦を作り、本当に素晴らしい企画が出来ました。
 その後残りのTシャツ2300枚を贈り、合計3300枚をニューヨークに届けることができました。
 そしてこんなお礼の便りが届きました。
「我々はニューヨーク消防の犠牲者を誇りに思うとともに、深く悲しんでおります。国内外からの支援のおかげで我々は勇気づけられました。我々は今回起こったことと、いただいたご支援のことは忘れません。消防は最高の人間愛があり、人のために奉仕いたします。あなた方の局が将来このような事態に遭遇し、堪え忍ぶことのないことを願い
また一緒に世の中をよりよく、より安全な場所となるようにしていきましょう。あなた方に何時も神からの恩恵とご過去がありますように、また、愛と書いてくださった100歳の市民の方に感謝するとともに、どうか彼にお礼を申し上げてください

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